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ゼムケのP47 1/18を作る 余話

ヒューバート・ゼムケを知ったのは確か3年半ほど前。きっかけはトイズ・マッコイ。

2007年だったと思うが、トイズ・マッコイが裏地が赤いシルクのA-2をリリースした。ベースとなったのは、ゼムケ(Hubert Zemke)大佐が着用していたA-2。
確か、商品名は“トイズマッコイ A-2 ウルフパック レッドシルク”。おおう、かっこいい。商品の解説には、“第8航空軍第56戦闘航空群”や“ゼムケ大佐”、“ゼムケズ・ウルフバック”なんて記述が並ぶ。“エースパイロット”なんて記述には胸が踊った。
なんで裏地が赤いかというと、エース・パイロットの証ということ。敵機を5機撃墜すると“撃墜王”、つまり“エース・パイロット”と認められる。第56戦闘航空群では、その証としてA-2の裏地を赤にすることに決めたんだとか。

裏地が真っ赤なんて、超かっこいい。それが “エース・パイロット” の証だというのだから、壷に嵌った。
もっとゼムケという人のことを知りたい。 “エース・パイロット” の証で裏地を赤にしたって後からの作り話じゃないの?
もう何年の前から、分らないときはWeb頼み。
愛用の「Google」に“ゼムケ”と入力して「検索」をクリック。結果、「P47サンダーボルト戦闘機隊—名戦闘機隊長ゼムケ大佐 語る」という項目が出た。
ビンゴって感じ。ほほう、本が出ているらしい。

ちなみに、今、同様に検索しても、検索結果の2、3項目目に「Amazon.co.jp: P47サンダーボルト戦闘機隊 ..」と出る。
.以下がその本の解説文。

〜 ゼムケ大佐率いるアメリカ第8航空軍第56戦闘航空群が英国に展開したとき、ドイツ空軍は依然として強力な敵だった。
実戦経験のない隊員たちはドイツの熟練パイロットに苦戦を強いられる。ゼムケはこの逆境を強力なリーダーシップで克服しようとした。
部下たちに規律を徹底させる一方で、部隊のためには将軍とも喧嘩する。
そんな彼の努力が実を結び、やがて第56は第8航空軍きっての精鋭戦闘機隊へと変貌を遂げる。
「ゼムケの狼群」の伝説的名指揮官ゼムケ大佐が、苦闘と栄光の日々を自らの言葉で語る本書は、逆境にあって屈せず、創意と努力でそれを克服した一人のリーダーの生きざまを垣間見せる好著である。〜

その時はこんな解説も読まず、その本を入手したのは後から。でも、読むまでもない。こんな本があるくらいだから。と、それだけで “ゼムケ大佐はかっこいい” と思い込んだ。
“トイズマッコイ A-2 ウルフパック レッドシルク” が欲しい。自分でも呆れる単細胞。
ちなみにこの単細胞は、どうも治す薬がない。自覚があるが、どうにも治療方法が見つからない。こんな重病患者を見捨てない奥さんに感謝。

このゼムケのA-2をリリース知ったのは、発売から1年半も経ってから。恵比寿の「トイズ・マッコイ」に電話したが、当然  “完売”  の回答。けど、諦めきれない。
「トイズ・マッコイ」の正規取扱店を調べ、南から順に根気よく電話で照会した。確か仙台のお店だったかしら、北から行けばよかったと思った。「在庫1着あり」でサイズもドンピシャ。夢見心地。

到着したA-2を見て、うっとり。赤がいい。裏地の肌触りがいい。革もいい感じで、着心地も大満足。エース・パイロットになった気がした。

A-2red 

「ゼムケ大佐 語る」の本。A-2の着心地に酔いしれて、やっぱり欲しくなった。 “エース・パイロット” の証で裏地を赤にしたって作り話じゃないの、という疑問が頭をよぎって確認したくなった。
通販で入手した。早川書房が1994年に発行したハード・カバーで、著者はロジャー・A・フリーマンという人。
187ページからに、ちゃんとその記述があった。

〜 ことにうれしかったのは、ジェリー。ジョンソンがMe109一機を撃墜して、これで彼の撃墜機数は5機となり、彼は“エース”つまり撃墜王となったという点だった。…中略
ジェリーの功績を表彰するため、われわれは彼を他の仲間からすぐに識別できるようにする方法が何かないか、捜し求めた。誰かが、カスター将軍麾下の精鋭騎兵隊が、レッド・インディアンの勇敢な戦士たちと戦闘を交える際に、明るい緋色のスカーフを巻いていたことを思い出した。われわれはわが航空群ではエースの目印をジャケットにつける赤い絹の裏地にすることに決めた。
こうしてジェリーは上着をはぎとられ、その上着はロンドンに送られて緋色の裏地をつけてもらうことになった。〜

アメリカのオハイオ州デイトンにある国立アメリカ空軍博物館: National Museum of the United States Air Forceに、実際にゼムケ大佐が着用したA-2が保存されていることも知った。
公式ホームページにはその写真が掲載されている。で、その解説文の一部は次のとおり。

The 56th had a tradition that when a pilot became an ace, he could have red lining sewn into his flight jacket; …
第56(戦闘航空)には、パイロットがエースになった時、フライトジャケットに赤い裏を縫い込むことができる、という伝統があって…てな意味か。

ちなみにこの博物館はライト・パターソン空軍基地内にあり、ライト兄弟が初飛行した場所はこの敷地内。名称のライトはライト兄弟のライト。

間違いない。赤い裏地はエース・パイロットの証。レプリカじゃんと言えば見も蓋もないが、“トイズマッコイ A2 ウルフパック レッドシルク” を持てたこと、結構自慢なのだ。

実は、このゼムケ・レプリカにはもう一つ、トイズ・マッコイらしい、プロデューサーの岡本博らしい、 “粋” な仕掛けがある。どうしても手に入れたくなったのは、この仕掛けが決定打。
裏地の左前部分にラベルが縫い付けられていて、そこにはロンドンの縫製会社名が表記されている。

A-2red2 

styled by GRIFFTH  LIMITED  MANUFACTURERS  LONDON
Expressly  for  The United States Forces   European Military Operation 

このA-2は、「グリフィス」という会社が、ヨーロッパに軍事展開するアメリカ軍のために仕立て直したという証明。

で、この「グリフィス」という名前。おおうっ、な、なんと。やられたっ。
さすがと言うか、呆れたというか、やっぱり岡本さんのこだわりの遊び心。

「グリフィス」とは、あの映画「大脱走」で、脱走計画の重要な役割を果たした捕虜の1人の名前。ロバート・デズモンドという人が演じている。
劇中、グリフィスの役割は仕立て屋。Tailorがニックネーム。軍服、カーテン、毛布など、収容所内のあらゆる物を使って、脱走の際に偽装するための普段着やコート、ドイツ軍の制服などを仕立てる。 
 
つまり、第56戦闘航空群から依頼を受けて、赤い裏地を施していたロンドンの縫製会社が「グリフィス」。その会社の主人か跡取り息子かが、英国空軍に出兵して撃墜され、ヒルツと同じ収容所に収監された。彼はそこで自分の縫製の技術を生かし、大脱走計画に参加した、という感じか。
岡本さんはこんなサイドストーリーを作ってしまった。

岡本さんの“みごと”な策略に、嵌った。どうしても “トイズマッコイ A-2 ウルフパック レッドシルク” を入手せねば。これを持たずして「大脱走」は語れない。「A-2好き」は名乗れない。と、どうしようもない単細胞は無我夢中になった。

冬夏関係なく、時々クローゼットから引っ張り出し、袖を通してにやにや。第56戦闘航空群指揮官 "ハブ" ゼムケになった気分。
となると、やっぱり趣味部屋の My Hanger には“愛機”が欲しい。その“愛機”の背景に“ゼムケA-2”を配して、宣伝ポスター風の写真が撮りたい。
実機のP47なら申し分ないが、無理に決まってる。適度な大きさの1/18が見つかって、「ゼムケのP47 1/18を作る」プロジェクトと相成った。

ピラニア航空

東京ディズニーシーのロストリバーデルタ (Lost River Delta) には「失われた河」があって、この河岸に停まっている複葉機は、インディがクリスタルスカルの遺跡を探検するためにここまで乗って来たもの。
この複葉機の翼にはピラニアをデザインしたマークが描かれていて、「ピラニア航空(Piranha Aviation)」という航空会社が所有しているものだと分る。 名前の由来は、「このあたりに生息するピラニアをも恐れない探検家」ということだそう。
インディ、本名はヘンリー・ウォルトン・ジョーンズ・ジュニアが、ピラニア航空から飛行機をチャーターして、遺跡の調査にやってきたというバックグラウンドストーリー。
ちなみにミドルネームのウォルトンは、ジョージ・ルーカスのミドルネームなんだとか。ルーカスの本名はGeorge Walton Lucas Jr。

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ロストリバーを挟んで遺跡の対岸には、「ハンガー(Hangar)」という名のステージがあって、「ミスティックリズム」が上演されている。
ハンガーとは飛行機の格納庫のこと。外観もまさに格納庫の雰囲気。
ここにもピラニアのマークが描かれている。つまりここが「ピラニア航空」の格納庫ということ。 ただ、経営難だったのか、唯一の飛行可能な飛行機をインディが乗っていったまま戻ってこないからか、ピラニア航空は運営を止めたらしい。で、放置してあった建物を誰かが劇場に改造してショーを上演しているということなのだそうだ。

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建物の周りには、朽ちた飛行機やエンジンが放置されたままになっていたり、営業当時のポスターが貼ったままになっている。ポスターをよく見ると、「ミスティックリズム」を提供しているブリジストンが “うちのタイヤは凄いよ” と宣伝している。

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ちなみに、放置されているエンジンには、「Jacobs」というロゴが表記されている。どうも「Jacobs Aircraft Engine Company」という航空機のエンジンメーカーが作った「R755B2」という7気筒のエンジンらしい。これは
WACO(Waco Aircraft Company)社が製造した「WACO-YMF」という複葉機に使われているエンジン。 インディの複葉機は「WACO-UBF2」で、そのエンジンは「Continental Motors, Inc.」という航空機のエンジンメーカーが作った7気筒の「Continental R-670」。
つまり「ピラニア航空」は、WACO製の複数種の航空機を使用していたということ。

ふむぅ、ここまでこだわるか。脱帽。 いかにも“よく知っているのだ”ってな感じで書いているけど、ディズニー好きには当たり前の話題。Webで探せばいろんな人がいろんなところで書いている。いまさらという感じかも。
言葉を換え、表現を換えて書いているど、要するに「ディズニーの“こだわり”はすごい」という話。

ディズニーシーの中でもこの「ロストリバーデルタ」は格別わくわくする。
インディの複葉機があって、近くにはその格納庫だった施設があって、インディが探検している遺跡があって、まるで「失われたアーク」の1分の1のジオラマの中を歩いてるみたい。

ロストリバーデルタの複葉機

「ここは、観光客の来るところじゃないぞ!」
「クリスタルスカルを怒らせたのは君達かっ?」
「若さの泉」を見つける探検ツアーに参加して、遺跡に入ったとたん、インディに怒鳴られる。
インディに怒鳴られるというシチュエーション。まじ「やられた!」。
このセリフが、現実の世界から映画の世界へ気分を転換させる。

遺跡の中を高速で走り回りまわる。身体が上下左右に振り回される。吹き矢が降りかかるのを肌で感じ、クリスタルスカルが放つ煙に包まれる。
映画「レイダース/失われたアーク」の冒頭でインディ向かってでっかい丸い石が転がってくるけど、あれと同じようにでっかい丸石が転がってくる。映画で見たインディの冒険を体感する。バーチャルを眼と耳と身体で感じる。

“こだわり”のシチュエーションは、「スターツアーズ」の度を増した。アトラクションの中だけでなく、「ロストリバーデルタ」というエリア全体で「インディ・ジョーンズ」の世界を、探検気分を盛り上げる。

クリスタルスカルの遺跡の前に川がある。たぶんこれが「失われた河(ロストリバー)」。

「川」と「河」、日本は川と書き、河と書くのは中国だとか。TDL:東京ディズニーリゾートのホームページは「失われた河」と表記している。「河」の方が大きく雄大なイメージではある。

ロストリバーの河岸に複葉の水上飛行機が停まっている。機体下の砂地にはパイロットが降りたときに出来た足跡が残っていて、遺跡に向かったらしい。
翼と胴体には「C-3PO」と書かれている。「スターウォーズ」のドロイド凸凹コンビの背の高い方の名前。
映画「レイダース/失われたアーク」の冒頭でも複葉機は登場する。たぶん同じ型。その機体には「OB-CPO」と書かれていて、オビ・ワン・ケノービとC-3POをもじったものだとか。
「スターウォーズ」シリーズの脚本と監督はジョージ・ルーカス。で、ルーカスは「インディ・ジョーンズ」シリーズの製作総指揮。だから河岸の複葉機は間違いなくインディが乗ってきたものだと一目瞭然。おおう、まさに映画に登場した複葉機の1分の1ではないか!

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写真では片足分しか写せてないが、左のフロートの前にインディの足跡がついている。

久しぶりに奥さんと娘と3人でTDS(東京ディズニーシー)に遊びに言った時、娘が「この飛行機、来るたび必ず写真に撮るんだね。」と呆れていた。しょうがない。写真好きの飛行機マニアなのだ。 

インディの複葉機、機種はなんだろう。飛行機“マニア”と言う割に一目では分らなかった。だから、飛行機“ファン”と訂正する。
Webを漁り始め、「WACO-UBF2」であろうと分った。機体のフォルムやエンジンの形状を画像などで比較して、たぶん間違いない。

WACO(Waco Aircraft Company)は、1020年から1958年まで操業したアメリカ(オハイオ州)の個人所有飛行機の製造会社。個人所有とはまさに個人で飛行機を楽しむ、自家用車の飛行機版。
アメリカでは個人で飛行機を楽しむ人が多い。そりゃ、土地が広いもん。
 WACOという社名は「Weaver Aircraft Company」の頭文字で、Weaverは創業者の1人の名前。操業中に36種類の飛行機を製造し、中でも1934年から1935年に製造された「WACO-YMF」という飛行機は“傑作機”と賞されたらしい。
その後、WACO機の製造権などを買収した会社が「WACOクラシック社」を創設し、1991年からYMFの製造を開始して今も作っているのだそうだ。
「WACO-UBF2」は、1932年か1933年に製造された。Webで探すとインディの機体同様の水上機仕様の写真も見ることが出来る。

本物をアレンジした“インディの複葉機”の1分の1。ここでしか撮れない。見るたびにどうしてもシャッターを押したくなる。写真好きでディズニー・フリークの飛行機ファン。

Star Tours

スターツアーズ、何してるんだ!立ち入り禁止の戦闘区域だぞ。」
はじめてこのセリフを聞いたとき、「やられた!」と思った。

衛星エンドアに旅行できる。ひょっとしたらイウォークに会えるかも。わくわくしながら搭乗口に向かう。R2-D2とC-3POがいる。
へぇ、スピーダー3000という旅客機に乗るのか。今で言うならボーイング787だな。いくつかの搭乗ゲートがある。何便も発着しているらしい。成田から海外に行く、それとおなじ高揚感。
シートベルトの確認、本当に飛行機に乗ってるみたい。すごいなこの気分の盛り上げ方。
うわっ、動いた。加速したっ。
「ライトスピードッ」って、つまり光速ってこと?
な、なんと、スターデストロイヤーではないか。
そして、あのXウィング戦闘中隊のリーダーから交信が。
「スターツアーズ、何してるんだ…」
このセリフ、「スターウォーズ」と「スターツアーズ」は同じ世界なのだと関連付けるセリフ。
「ヤヴィンの戦い 」の戦闘区域に、エンドア観光の旅客機が間違って進入してしまう。
つまり「湾岸戦争」の戦闘区域に、パリ観光に行くために乗ったJAL便が間違って進入しちゃったっていうような感じ。

ちなみに「ヤヴィンの戦い 」とは第1作(エピソード4)で、デススターを攻撃して爆破した戦いをそういうんだとか。
ヤヴィンとは、ルークたち反乱軍の秘密基地があった星のこと。帝国軍はデススターでこの星を破壊しようとするが、ルークが「フォース」で中心部に爆弾を打ち込んで反撃に成功した。

誰が考えたんだろう、頭が下がる「スターツアーズ」のシチュエーション。
このシチュエーションに加えて、加速で身体がシートに押し付けられ、爆風にあおられて身体が激しく揺さぶられる。体感。ものすごい臨場感。心身ともに映画の世界に入ったみたい。
出口へ向かう通路は、スターウォーズの世界から帰ってきて、成田の到着ロビーを歩いているような不思議な感じ。バーチャルと現実の境目体験。

「スターツアーズ」を出てピザを食べる。「パン・ギャラクティック・ピザ・ポート」という専門店。ここのピザは“宇宙のピザ”だそうで、ピザを焼く職人のトニー・ソラローニは“イタリア系宇宙人”なんだそう。
これでもかっていう“こだわり”のシチュエーション。開いた口がふさがらない。

フロリダのWDW、ウォルト・ディズニー・ワールドの「スターツアーズ」はもっと「スターウォーズ」。
「スターツアーズ」は、「Magic Kingdom(マジックキングダム)」、「Disney's Hollywood Studios(ハリウッドスタジオ)」、「Disney's Animal Kingdom(ディズニー アニマルキングダム)」、「EPCOT(エプコット) 」の4つのテーマパークのうちの「ハリウッドスタジオ」にある。
なんとアトラクションの入り口はエンドアの森のような雰囲気で、たぶん実物大、つまり1分の1のAT-ATがいる。うわぁ、乗りてぇ。思わずそう叫んでしまうが、乗ることは出来ない。ただ、そのすぐ脇にある「スピーダーバイク」は跨ることができる。
昨年(2010年)の2月に訪れたとき、「スターツアーズ」はリニューアルのために閉まっていた。今はリニューアルも終わってオープンしている。アナキンが競技したあの「ポッドレース」が体感できるらしい。あぁ、行きたい。

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帝国軍地上部隊主力兵器 AT-AT 通称スノーウォーカー  1/1
AT-ATとはAll Terrain Armored Transport(全地形装甲トランスポート)の頭文字。

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スピーダーバイク(Speeder bike )   1/1

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Star Tiurs の横にあるグッズショップは砂漠の惑星タトゥイーン(Tatooine)の雰囲気。
タトゥイーンは、ルーク・スカイウォーカーの故郷。


「スターツアーズ」のエリア内には「ジェダイ・トレーニング・アカデミー(Jedi Training Academy) 」がある。
ジェダイになるための学校。30分のアトラクション。30分でジェダイになれる。受講するしかない。ところが残念、大人はだめ。
ジェダイマスターからライトセーバーの使い方を学ぶ。すると、あの「コーッパーァ」という息遣いが響き、ダースベーダー卿が登場する。
冷めた言い方をすれば、スターウォーズ版チャンバラ教室。けど、あのダースベーダーと戦えるのだ。子供たちにとっては堪らないはず。
ダースベーダーはあっさりと負けてくれて、生徒たちはみんな無事に卒業する。記念に「ジェダイ・ローブ」と「ライトセイバー」が授与される。
始まってから30分間、子供たちとダースベーダーのチャンバラに見入ってその場を動かない私に、奥さんは呆れていた。

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東京ディズニーランドの「スターツアーズ」は、1989年にオープンしてから20数年も経つ。フロリダやアナハイムのリニューアル後を見たわけでもない。
いまごろ何でこんな話題をって感じだけど、大晦日の紅白のミッキーを見て、頭の中がディズニーになった。

1/1のプラモデル?

車はメッキパーツで雰囲気が変わる。

最近の車を見るとメッキパーツはほとんど使われていない。
使われなくなってどれくらいになるのか。
数十年前、メッキパーツは当たり前に使われていた。豪華に見せる必需品だったのかもしれない。
バンパーはもちろん、フロントグリルやフェンダーミラー、ヘッドライト、ウィンドウさえメッキパーツで枠取りされていた。

車体の材質も進歩し、成形もどんどん自由になって、デザインの斬新さを求めて、車のデザイナーはきっとメッキパーツが不要だと思うようになったんだと思う。
今まで当たり前だったメッキのバンパーが、気がついたら無くなっていた。フロントグリルからも徐々にメッキが消えた。

若い頃、欧州車に憧れてフォルクスワーゲンの「ゴルフ」に乗った。就職して数年たって、ローンを組んで新車を買った。2代目の「ゴルフ2」でディーゼル・エンジン。
初代のゴルフはウィンドウのモールドやフロントグリル、バンパーにメッキパーツが使われていたが、ゴルフ2には使われていない。バンパーは黒い樹脂製、グリルもウィンドウもつや消しの黒。ドアの取っ手もつや消しの黒で、すごく新しい感じがした。
以降、いままで数種類の車を乗り継いだが、メッキパーツの使用は部分的。これでもかと使った車種はほとんどない。

メッキパーツ、イコール、昔の車。つまりクラシカルな車、レトロな雰囲気の車。そんな風に思う。
今、そんな車が無性に気になる。
機能満載でデジタル表示のG-Shockより、貴金属といわれた時代のアナログ時計がいい。最新鋭のデジタル一眼より、フィルム装填のライカやニコンのほうが、所有する嬉しさがある。
先日、路上でさっそうと走るホンダのS800を見た。“車を楽しむ”、ドライバーの横顔にそんな表情を感じた。“オーナー”という言葉が特別な意味を持つと思った。
メッキに包まれた、視界の狭いフェンダーミラー越しに見る後ろの景色は、きっと格別だろうなあ。

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手前 Honda S800 1966   奥 Honda S600 Coupe  ( EBBRO 1/43)

僕はダイハツの「コペン」の “オーナー”。
軽自動車だけれど、乗るのが楽しい2人乗りのスポーツカー。信号待ちの短い間にボタン一つで屋根が開いてオープンカーになる。
2人乗りでオープンカーだから、荷物なんてほとんどつめない。実用車とはほとんど呼べない遊ぶための“セカンドカー”。
“セカンドカー”なんてまさに贅沢。けれど、軽だから維持費が安く、僕のような子育てを終えた熟年夫婦の“おもちゃ”にはうってつけ。
小さくて色が豊富、スタイルも“かわいい”から、女性にも人気があって、オーナーズ・クラブにも女性が多い。
実用者に“オーナー”という言葉はあまり使わない。たとえば“フェラーリのオーナー”とか、“ポルシェのオーナー”とか、“オーナー”という言葉は特別な車を所有する誇りの意味が含まれる。
だから、僕は “コペンのオーナー”。

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DAIHATSUのディーラーが創業100周年を記念して販売した1/18のCopen 
 ディーラーでしか買えない数量限定の特別モデルで、けっこう高価格であった割には、出来がイマイチ。
 革製のシートのモールドは固すぎるし、ホイールがメッキというのはいただけない。 
 
コペンのオーナー仲間に、自分と同じようにメッキパーツにこだわった人がいる。
自動車を販売し、修理も請け負う、つまり街の小さな“自動車修理工場”の経営者。「雲井モータース」といって三重県津市にある。“小さな”というと彼に叱られる。
僕と同年代で、感性が共感できる。“こだわり”を大事にする“素敵な奴”。
オリジナルでコペンのカスタムパーツを製造し販売して、「KM-COPEN」というブランドにした。ホームページ http://www.km-copen.com/ を見れば、こだわりがわかる。

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「KM-COPEN」のおかげで僕のコペンは “1/1のおもちゃ” になった。コペンを使って、まるでプラモデルのようにカスタムを楽しむ。コンセプトは “007”。
ジェームズ・ボンドの愛車、アストンマーチンDB5風にコペンをカスタマイズ。雲井さんがこだわって作ったパーツでこんなことが出来ちゃった。
メッキのバンパーが時間をさかのぼらせ、コペンに合わせて上手にデザインされたメッキのフロントグリルが、1964年に公開された「ゴールドフィンガー」を想わせる。
カスタムカー「007モデル」、人呼んで「マーチンコペン」。
1分の1のプラモデルに乗り、首都高を飛ばす。気分爽快。
「あの小さいの、何ていう車?」と言いたげな視線を時々感じて、ささやかな優越感。

飽き性の僕が、未だに手放す気が起きない。走行距離は10万キロを超えた。

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1/1は実物と同じ大きさ。

「1/1」は実物大のスケールモデル。
実物と、大きさ、姿かたちは同じだけど実物ではない。

Wikipediaには、スケールモデルとは、対象となる物の形状を、スケール (縮尺) に基づいて忠実に再現した模型のこととある。
スケール (Scale)とは英語で縮尺、比率を指す用語であり、実在するもの、過去に実在したもの、これから作られる予定のものなどを“忠実に再現する模型”をさしてスケールモデルと呼ぶことが多いともある。
よって、「1分の1」は、“実物の大きさ”または“実在した場合の大きさ”と同じスケールで作られた模型のことをいう。そう定義しようと思う。

ちなみに、「レプリカ」は、本来は「オリジナルの製作者自身によって作られたコピー、複製品」のことであり、現在では広くコピー一般に対して用いられているのだそうだ。だから、1/1は広い意味で「レプリカ」だが、1/6など、縮小したものなどはレプリカといわないのだ。あらためて知った。

大阪にあるUniversal Studios Japan に、映画「Back to the Future」のタイムマシン
「デロリアン」の1/1が展示してある。あるはず。写真は3年ほど前に撮ったもの。
展示というよりオブジェ。
わくわくするスケールモデル。
このタイムマシン「デロリアン」のベースとなった車は、アメリカのデロリアン(De Lorean )という自動車メーカーが唯一市販した『DMC-12』という車。このメーカーは今はない。

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USJのは、『DMC-12』ではなく、映画の主役としてタイムマシンに改造されたDMC-12の1/1。
ん、まてよ。この1/1を制作したのは、Universal Studios。拡大解釈すれば、唯一無二のDMC-12の版権元。つまりオリジナルの製作者自身が作ったということになるから、「レプリカ」と呼んでもいいのかも。
那須にある「NASU PS GARAGE」というところには、USJのものよりもっと精巧な「レプリカ」があるそうだ。
ホームページを見ると、007のボンドカーやバットモービルのレプリカもあるらしい。
一度、カーマニアの友人をさそって見に行かねば。

ま、いずれにしても、自分的には市販のDMC-12より、タイムマシン「デロリアン」のレプリカのほうが欲しい。
走らなくてもいい。シートに座って、 ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの「Power of Love」を聞いたら格別だろうなぁ。ただ、置いておく場所はない。

ちなみに、映画制作の際、タイムマシンをはじめから車にしようとしていたのではないのだそうだ。
はじめは、旧式の冷蔵庫をタイムマシンにと考えたらしい。ただ、映画を見た子供がまねをして冷蔵庫に入り、閉じ込められてしまうことを懸念して車にしたのだとか。かなり以前に映画関係の本で読んだ。

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同じUSJに、あこがれの車「1932 FORD DUCE COUPE」の1/1がある。あるはず。これも3年前撮影。

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これもレプリカ。
ナンバープレートはもちろん、映画「American Graffiti」の劇中と同じで、ジョージ・ルーカスの処女作のタイトルからとって「THX 138」になっている。
オールディーズが流れる「Mels Drive in」の店内から、コーラを飲みながらながめる黄色のDUCEは格別にかっこいい。
誰かがべスパで走ってきて、入り口脇においてある自販機にでもぶつかってくれたら、鳥肌が立つかも。
昔、劇中のジョン・ミルナーを真似してやったように、Tシャツの袖をロールアップしてたばこを挟むか。
だめだ。たばこはもう吸わない。

この車に乗ってベイブリッジから湾岸線を北上したら、気分は最高だと思うけど、確実に自分には似合わない。
ゆえにデスクに置いた1/24のスケールモデルを眺めながら、映画の世界に想いを馳せる。
それで十分癒される。それがスケールモデルの魅力のひとつ。