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1/87のAmerican Graffiti その2

1/87のデュース・クーペのアメグラ仕様への大改造。これがなければアメグラの世界は再現できない。なんとかものにしなければ‥。

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オープンタイプしかないRICCO製デュースに、ハードトップとオーバーフェンダーをエポキシ造形パテで作った。

さすがにこのスケールは小さく、指先の不器用さと年相応に低下し続けている視力に腹を立てつつ、悪戦苦闘。
娘が誕生日にプレゼントしてくれた拡大鏡が大きな戦力になってくれている。
レンズ越しに見る世界は、日常ではありえない景色。遠近感が極度に強調され、必要部分にだけピントが合う。不要部分はボケて見なくてもすむ。不思議な世界。
いまさらながら変なところに感動するのも、純粋に趣味を楽しめる心の余裕。

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趣味部屋は、そこそこお洒落な作りの賃貸アパートの2階の1室。リビング兼キッチンに6畳と4畳半の2LDという間取りで、単身赴任者には贅沢。趣味部屋が必須という我がままな条件のせいでこうなったが、こんな贅沢をさせてもらっているのも、理解のある家内のおかげ。

模型作りにいそしむ作業机は腰高窓に向かって置いてあるから、作業の途中、頭を上げるとレースのカーテン越しに外の景色が目に入る。けっこう気分がいい。
ただ、最近、となりの空き地にアパートが建設されて、視界が遮られる形になった。ので、ちょっと残念。
けど、差し込む光の量は変わった訳でなく、まだ遠方も望めるから、気分のよさはかわらない。

贅沢な悩みは、趣味部屋の居心地が良すぎて、いままで我慢していた、いろんな作業に手を出してしまい、時間が足りないと思ってしまうこと。それと、運動不足。運動する時間も作らなければ、加齢に輪をかけてしまうぞ、と朝の目覚めで身体の固まりを感じるたびに反省する毎日…。

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下地を塗装。ハードトップ部が若干小さかったか。表面のでこぼこも少々気になる。手前の四角い固まりはエンジン。 

1/87のAmerican Graffiti

「メルズ・ドライブイン Mel's Drive In」。
これがモデル化されるとは、ちょっと興奮するじゃないか。
あの憧れの「アメリカン・グラフィティ」のシーンがジオラマで再現出来る。
1973年の映画で、日本での公開は翌1974年の12月。もう40年も前の映画なのにまだ根強いファンがいるのだ。
「あのメルズ・ドライブインが手元に欲しい」「その前に、黄色のデュース・クーペやシボレーのインパラ、シトロエン2CVなんかを並べたい」と思う映画好き模型ファンがたくさんいるに違いない。

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メビウスモデルMoebius Models製 Mel's Drive-In  1/87

念願がかない、「メルズ・ドライブイン」が手元に来た以上、ジオラマを作るしかない。
が、スケールは1/87。ならべる車をどうするか。
せめて1/64であれば、デュースもインパラも、サンダーバードもシェービーもダイキャストでモデル化されているのに。
1/87では、ほぼ全滅。シトロエン2CVは見つけた。あと、チャールズ・マーティン・スミス演じるテリーが乗っていたスクーターのベスパはある。
と、ダメもと、無我夢中でWebを漁り、なんとリッコ(RICCO)というブランドが「1/87 フォード デュース リミテッドエディション」というやつを製品化しているのを発見!
ただ残念なことにオープンカー。映画のデューズは屋根がある。それにボンネットがカスタマイズされていて、エンジンが露出している。

こうなりゃ、改造するしかない。
1/87のデュース映画仕様が出来れば、いい感じのアメグラ・ジオラマが出来る。ディースさえいれば、他の車はそれなりの雰囲気のもので誤摩化せる。

いざ、1/87という極小スケールの改造に挑戦! 

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 リッコ RICCO製  フォード デュース リミテッドエディション 1/87
おそるおそる解体し、とりあえずボンネットを切除してみたら、思いのほか上手くいった。改造、なんとか出来そうかも。

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「東海道本線」は東京駅と神戸駅の間を結ぶ。
名前の由来は、東海道十三次の「東海道」。コースもほぼそれに沿って走る。
日本で最初に鉄道が開通した品川〜横浜間を含む、日本の大動脈。
全長は589.5km。

ここを蒸気機関車C62-2「スワローエンゼル」が特急「ツバメ」を引いて走ったのが、1950年10月のダイヤ改正以降。
1956年11月に東海道本線が全線電化されてからは、EF58形電気機関車が「ツバメ」を牽引した。
電車特急「こだま」が運行を開始したのは1958年。

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東海道電化完成記念切手 1956年11月19日発行

東海道新幹線の開業は1964年(昭和39年)の10月1日で、東京オリンピックはこの年の10月10日から24日まで開催された。
鈴木オートの六ちゃんはこの年に結婚し、最新鋭の超特急「ひかり」で新婚旅行に行った。「ALWAYS三丁目の夕日'64」の話。

アメリカの「ペンシルバニア鉄道」は、1846年に創設された鉄道会社。アメリカの鉄道は草創期から国営ではない。
一時期は世界で最大の株式公開企業だったらしい。規模が最大だった時期には、約16,000 kmの鉄道路線を運行していたそうだ。 
路線の範囲はシカゴ、セントルイスからニューヨーク、ワシントンD.C.。

ちなみに、日本の国鉄は分割民営化直前の1987年(昭和62年)3月31日時点で新幹線と在来線併せて総延長約20,000km。
20,000分の16,000は0.80だから、日本の国鉄の約80パーセントに相当する距離をひとつの民間会社が運行していたという単純計算。

「ペンシルバニア鉄道」は、ライバル会社との合併を経て1970年に倒産し、その路線を「ノーフォーク・サザン鉄道」が引継いだ。
総営業距離は34,600 km。路線の範囲はアメリカ東部の21州とコロンビア特別区およびカナダのオンタリオ州に路線がある。

アメリカの総路線長は225,500kmで世界最長(2006年のデータ)。日本はJRと私鉄で約28,000kmらしい(2011年のデータ)。
「ノーフォーク・サザン鉄道」の営業距離は日本の約1.2倍で、アメリカ全土の15パーセント。
数字ぎらいが一所懸命がんばった単純計算。出た答えは “アメリカはでかい”。

「ペンシルバニア鉄道」の東海道本線的な路線は、たぶんニューヨーク〜フィラデルフィア〜ワシントンD.C.間の路線。
距離はおおよそ370kmくらいらしいから、ちょうど東京から名古屋までくらい。

この路線が1935年に電化されて、「GG1型電気機関車」が牽引した。東海道本線電化の20年前。
GG1は、ペンシルバニア鉄道が開発した電気機関車。1934年から1943年にかけて139両が製造された。
車体のデザインは「レーモンド・ローウィ:Raymond Loewy」。
「口紅から機関車まで」といわれ、いろいろな分野で活躍したインダストリアル・デザインのすごい人。
「ラッキーストライク」や日本のタバコ「ピース」のパッケージ、「不二家」のロゴマーク、非常食として最近注目されているらしいナビスコの「RITZ」のパッケージも彼のデザイン。
2003年に営業飛行を終えた超音速旅客機「コンコルド」の機内インテリアもデザインしたのだそう。

「GG1型電気機関車」はローウィの代表作のひとつで、流線型でめちゃくちゃ存在感がある。
レトロっぽくもあり、なんか「スターウォーズ」以前に作られたSF映画に登場しそうな独特の雰囲気をもっている。

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1999年8月26日にアメリカ合衆国郵政公社が発行した「All Aboard! 20th Century Trains 」という切手。
5種類のうちの1枚。


 “My Railway yard” のメイン敷設はドイツのメルクリンのHOゲージ。軌間16.5mmで、スケールはほぼ1/87。
敷設といっても、趣味部屋はまだ工事中。単身赴任ゆえ、なかなか工事は進まない。はやく列車を走らせたい。

メルクリンの鉄道模型はデジタル制御方式。
日本のNゲージなどのアナログ製は、一つの線路上に置いた複数の列車は同じ動きをする。
コントローラを操作して速度を上げれば、すべての列車が速度を上げる。進行方向をかえればすべての列車が同じ方向に向きを変える。
ところがデジタル方式だと、一つの線路上に置いた複数の列車を、1台のコントローラーで制御でき、それぞれの動きを列車ごとに自由に決められる。
1台を右向きに、もう1台を左向きに走行させて連結させる、なんてことが出来ちゃう。
それに走らせるだけでなくて、ライトをつけたり、汽笛を鳴らしたり、蒸気機関車なんて煙を出すことも。
だからメルクリンの蒸気機関車は、煙を吐き、蒸気の音を出し、走行音を立てて走る。運転室の石炭投入口が燃えているように赤く光る車両もある。 

メルクリンはドイツの会社だからヨーロッパの列車が主流だけど、一部アメリカの機関車もラインナップ。
そのひとつがペンシルバニア鉄道の「GG1」。アメリカの機関車の代表格ということか。
ヨーロッパの機関車にはない、独特のスタイルゆえに選ばれたのかもしれない。そうに違いない。
メルクリンの機関車たちの車体は亜鉛ダイカスト製らしく重い。だから重厚感があって、迫力がある。
ヘッドライトの点灯はもちろん、運転室の電灯、エンジン音、警笛、乗務員間の無線会話など10数種のギミックが付いている。
走らせると最高に楽しいし、オブジェとしても魅力がある。

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 Märklin digital HO  Electric Locomotive GG1 4935   1/87  *日本のHOゲージは主に1/80。 

こんな機関車が実際に走る姿、すごかったろうなぁ。みたかったなぁ。もし見られたら超「非日常」。けど叶わないから模型で我慢する。

趣味部屋

4年ほど前になるだろうか、息子が1人暮らしを始めるというのに便乗して、「趣味部屋」を持つことができた。

陳列した模型たちに囲まれて、プラモデル作りに没頭したい、鉄道模型が走るのを眺め、好きな音楽を聴きながら、ちびちびとお酒が飲みたい、とずっと憧れていた。

狭いマンション暮らしで、そんな贅沢なことはと思っていたけど、奥さんの理解と息子の協力があって、実現してしまった。

自宅から車で約10分離れたマンションの5階。夜遅く仕事から帰っても気軽に行ける距離。ちょっと贅沢をしてタクシーで往復しても2000円強。

タクシーで行けば、ビールを飲みながら、常設した塗装設備で作業が出来る。

6畳が2部屋とキッチンがある2Kのマンションで、その1室が手に入れた部屋。間取りも他の部屋と独立していて、玄関から直接部屋に入れる。息子がいても顔を合わせなく済むから、彼の生活を干渉することはない。

1面は南向きの窓で、けっこう気分がいい。ベランダも簡単な木工作業が出来る。


ガラスのショーケースを並べ、大きめの作業デスクを設置して、Macのデスクトップを置いた。

ショーケースには1/32スケールを中心とした飛行機のデスクトップモデルと、1/181/24を中心とした車のスケールモデルを陳列した。

木製のキャビネットに1/6のフィギュアのコーナーを作り、好きな本を収納する書棚も置いた。

そして、なんと言っても嬉しいのは、HOゲージのレイアウトが敷設できること。

引き戸を外した押入れのスペースを機関区にして、そこから本線を壁に沿って約4mほど伸ばす。窓際で折り返して機関区に戻る。

それなりに距離があり、貨車もある程度繋げられる。

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ゲージといってもドイツ製のメルクリン。
スケール感に拘るのであれば、当然、KATOとかTOMIXとか、高級なところでは天賞堂といったメーカーを選ぶのが普通。

メルクリンのラインナップはほぼドイツの鉄道。イギリス、フランスなどの欧州鉄道やアメリカの機関車なども一部あるが、日本の機関車はない。

レールも含めて専用のシステムで稼動するから、他社製のものは走らせることが出来ないから、馴染みのある日本の車両を走らせることが出来ない。。

HOゲージはレールの幅が16.5mmで約1/80スケール。それに比べてレール幅が9mmのNゲージは約1/160スケールとほぼ半分の大きさ。

これを選択すれば機関車もふくめて経費が安い。


なのにドイツのメルクリン(Märklin)を選んだ。

近所にたまたま日本では数少ないメルクリンの専門店があった。今は無い。そこで蒸気機関車が煙を吐いて走るのを見た。それを見てまず惚れた。

大阪の枚方市にマニアも認める専門店の存在を知った。「メルクリンShop HRS」という。ドイツのメルクリン本社も認めている店と聞いた。

「メルクリンは大人のプラレール。」

「日本の鉄道模型はどちらかというと飾って楽しむのが主流。走らせるにはそれなりの常設スペースと設備が必要。けれどメルクリンのレイアウトはプラレールのように設置も撤去も非常に簡単。」

「簡単だけれど、煙を吐いたり、走行音などサウンドが楽しめる。」

「一本のレールの上で、Aの機関車は右向きに、Bの機関車は左向きに走行させることが可能。つまり連結作業が可能なのだ。」

「ほかにも、電気の消点灯や、連結の切り離し。クレーン作業車のクレーンを回転させるなんてことも出来る。」

HRSの店長は長いキャリアを持つメルクリンの専門家。彼が熱く語るメルクリンの魅力に虜になってしまった。「大人のプラレール」は彼の名言だと思う。


ちなみに、レイアウトが完成したら、その鉄道を運行する会社名なんていうのも考えた。

Der Drei Segen Eisenbahn」。

ドイツの鉄道会社風。名前の意味は「Drei」は「3つ」で、「Segen」は「(神の)恵み」。「Eisenbahn」は「鉄道」。

由来は内緒。シンボルマークも考えてある。
Der-Drei-Segen-Eisenbahn 


思いがけず実現した我が「趣味部屋」は、「My Garage:車庫」であり「My Hangar:格納庫」であり、「My Yard:操車場」なのだ。

もちろん「My Factory」であり、整備された暁には友人を呼んで「My Gallery」にしたいと構想した。


整備を始めたのが4年前。時間の出来たときにちょこっと、毎週末とはいかない整備作業で、Myヤードの設置に取り掛かったのが3年前というのんびりとしたペース。

レールの敷設完成までもう少し、というところで「趣味部屋」整備作業を中断せざるを得なくなった。


2010年4月、青天の霹靂の人事異動命令。移動を命ぜられることなど、まず無いと思い込んでいた上に、単身赴任必至とあって、慌てた。


生まれて初めて経験する1人暮らしが始まって1年と半年。

My Garage」の車たちとも、「My Hangar」の愛機たちとも、ほとんど会っていない。

My Yard」のレール敷設工事も中断したままで、試走に配備したディーゼル機関車が直線レールの上で停まっている。

工事再開は毎年春の人事異動次第。次はどうなるのか。人事はひとごと。自分にはいかんともし難い。


単身赴任は大変。1人暮らしは大変。ただそのお陰か、「趣味部屋」の別室が出来た感じ。

通勤時間徒歩10分弱という好条件のお陰で、仕事を終えて1時間も経たないうちに、食事を終え、風呂に入り、趣味の時間にのめり込める。

「ちゃぶ台ファクトリー」を設置して、「大脱走のプロジェクト」を開始してから、ちゃぶ台に置かれた製作中のパーツや工具の隙間に夕食を並べるなどいう、奥さんに話したら呆れられる生活が続いている。


ちなみに、「趣味部屋」から別室に移設した塗装ブースはいい感じで活躍してくれている。

何年いや何十年ぶりに手にしたエアブラシだが、思いのほか上手く操作できている。

昔は面倒くさくてしょうがなかった、使用後の洗浄も楽しい。歳をとって少しせっかちさが薄れ、根気がよくなったのかも。


エアブラシ設備はGSIクレオスというメーカーの「Mr.リニアコンプレッサーセット L5」というやつ。

コンプレッサーとエアブラシがセットになったもので、模型用としては十分の性能。

エアブラシは、「プロコン BOY WA プラチナVer.2 ダブルアクションタイプ」で、口径が0.3mm

「趣味部屋」を手に入れた当時に、塗装ブースとともに入手していた。部屋の整備後、フル稼働させる予定だった。


最近、「プロコン BOY WA トリガータイプ」というやつを装備した。ノズルの口径が0.5mm。

大脱走バイクのマフラー部分の金属塗装用に「AMCスーパーミラー」という塗料を入手したが、これを吹くのに口径が0.3mmだとノズルが詰まって上手くいかない。

あと、広い面積を長時間吹くのには、ノズルの口径が大きくで、ピストルみたいにトリガーを引いて操作するタイプのほうがいい。


もちろん道具だから使ってなんぼだが、道具そのもののにも魅力を感じる。特に専用道具は堪らない。道具に凝るというのも趣味の魅力のひとつなのだ。

どうしても必要だからと奥さんを説得して購入した。なのに、持つだけで嬉しいなんてことが理由だとは、知られたら怒られる。