わがちゃぶ台ファクトリー。「大脱走バイク」製作プロジェクトが終了して以降、稼動を休止していた。
新たなプロジェクトを求めて試行錯誤。

「インディ親子(ハリソン・フォードとショーン・コネリー)をドイツ軍のサイドカーに乗せよう」1/6プロジェクト
「ハズブロー製スピーダーバイクをリアルに改造しよう」1/6プロジェクト
「“ラットパトロール”のジープにトロイ軍曹を乗せよう」1/6プロジェクト
「“エンジェルウォーズ”に出てくるB-24リベレーターを作ろう」1/48プロジェクト
「B-17のプラモデルを“戦う翼”のThe-Body仕様にしよう」1/72プロジェクト
と、いろいろと思いつく。
「“The Mission”のB-17を再現しちゃおうか」1/72プロジェクト、なんてのも考えた。

けど、どのプロジェクトもそれなりの準備が必要だし、完成までを想像して、いろいろ困難が見えて躊躇してしまう。
それに、なかなかエンジンがかからない性格の上、飽き性がゆえに、少しずつ手をつけても他に気が移り、“よしっ、とりかかろ”とまで行かない。

ちなみに、
“ラットパトロール”は、アフリカ戦線を舞台にしたアメリカのTVドラマで、機関銃を装備した2台のジープがドイツ軍相手に活躍する。
“エンジェルウォーズ”は、空想アクション映画。主人公はセーラー服姿で、日本刀を背負い、拳銃を持つ。エミリー・ブラウニングという金髪の女優が演じる。モビルスーツや第2次大戦の爆撃機まで登場する。秋葉原系というかなんと言うか、かなり日本の“オタク”文化が発送の元になっているが、面白くてかっこいい。
“戦う翼”の原題は「The War Lover」。わがスティーブ・マックイーン主演のB-17爆撃隊をテーマにした白黒映画。劇中でマックイーンが操縦するB-17の愛称が“The Body”。
“The Mission”は邦題を「最後のミッション」。「世にも不思議なアメージング・ストーリー」(原題: Amazing Stories)というTVのオムニバス・ドラマの中の1話。このTVシリーズは1985年から1987年までアメリカで放映され、日本ではVHSとDVDがBOXで発売された。製作総指揮はスティーブン・スピルバーグ。シーズン1の第5話である「最後のミッション」は原案と監督もスピルバーグが手がけた。主演はケビン・コスナーとキーファー・サザーランド。B-17がある作戦に出かけ、帰還するまでを描く。想像を超えた奇想天外なラストは感動的。

どのプロジェクトも“実現するぞ”と心に秘めているが、掛かる時間は想像できない。

毎日、仕事を追えアパートに戻ると、風呂に入り、ちゃぶ台に腰を降ろし胡坐をかく。
冷凍食品中心の夕食を終えると、TVを見ながら、スピーダーバイクのパーツを紙やすりで擦ってみたり、B-24のパーツを組み合わせて形を眺めてみたり。
Mac Bookを開いて、ドイツ軍サイドカーの画像を集めて資料集を作成したり、DVDを再生し、“The Body”のノーズ・アートをキャプチャーしてPhotoshopで加工し、デカール製作用画像を作る、なんてことも進めている。
むかしから、TVをみながらプラモデルをつくる、なんていう “ながら作業” が好きで、たまらなく楽しい。至福の時間。
家族と離れての単身赴任生活は、時には寂しく、年甲斐もなく時々ホームシックになるが、この至福の時間が得られることは精神的メリットが大きい。

そんな “ながら作業” を楽しむ中で、ためしにやってみた作業が思いのほか上手くいき、“こいつは、このままいっちゃおうか” とエンジンがかかった。
「ハブ・ゼムケのP-47を My Hanger の主役にしたい」という1/18プロジェクト。

あるきっかけで、ヒューバート "ハブ" ゼムケという人を知り、彼の愛機P-47を、わが趣味部屋の “My Hanger(格納庫)”の主役にしようと思うようになった。

ヒューバート "ハブ" ゼムケは、第2次世界大戦時、アメリカの第8航空軍の大佐で、第56戦闘航空群を指揮した名将。
リパブリックP-47サンダーボルトを駆る彼の部隊からは数多くのエース・パイロットを輩出し、 "ゼムケの狼群:Zemke's Wolfpack" と名を馳せた。

エース・パイロットを何人も育てたなんてところがかっこよく、Zemke's Wolfpackという名前の響きに引かれた。
格納庫の主役はでかい方がいいなあ、なんて単純な理由で1/32あたりの模型がないかと探してみて、セカイモンで、なんと1/18というP-47を見つけた。
もちろんレーザーパック。ゼムケの愛機もレーザーパックがメイン。

P-47のキャノピーには「レイザーバック」と「バブル(水滴形)トップ」の2種類がある。レーザーパックはキャノピーの後の部分が胴体の後部に連なるタイプで、デメリットが後方視界の悪さ。
で、これを改良したのが、バブルトップという、キャノピーが胴体上部に水滴のように乗っかってるタイプ。前部も後部もガラスで覆われているから、視界は良好。
自分的には、P-47はレイザーパックが好き。どちらのタイプも決してスマートではなく、レーザーパックは輪をかけて不恰好。けど、その不恰好さがいい。
くらべて、P-51ムスタングはバブルトップが断然かっこいい。P-47同様の2種類のキャノピータイプがあるが、P-51は “スマート” がいい。

セカイモンで見つけた1/18のP-47レーザーパックは、21st Century Toysというメーカーの1/18のシリーズ。“でかっ”と思わずつぶやく大きさで、胴体の全長は61cm強。
実機の全長が11mだから、1100cm÷18=61.1cm。18分の1に間違いない。脚の折りたたみやキャノピーのスライド開放などギミックがある。
10cmのパイロットが1体附属していて、腕や脚が稼動する。10cm×18=180cm。身長180cmとは第2次大戦中のアメリカ人としてはちょっとでかい気もするが、まあ、いいか。

このパイロットはプラスチック製だから、フライトジャケットやパラシュートなどの装備もプラスチックのモールドで表現されている。
もうちょっとリアルにならないかなぁ、なんて思い、うまいぐあいに薄い合成革の端切れがあったから、これを貼って革ジャケットを表現してみることした。
TVを見ながら、しこしこ、のんびり焦らず、なんて感じで楽しんでいたら、これが思いのほか、自分なりに上手くいった。
よし、次はトラウザースも布で、と、これもいい感じ。ちょっと腕長体形のパイロットだが、なんとなくアニメチックで、これはこれで “あり”。
おお、いいじゃん、いいじゃん。楽しくなってきた。

P47pilot

P47pilot2

エンジンがかかって、“P-47 cockpit ”というキーワードでWebから資料画像も収集した。
計器パネルもくりぬいてメーター類を表現する。楽しい、楽しい。
ゼムケの愛機に書かれたマークや “UN-Z” というロゴの画像もほぼできた。このデータをアルプス電気製のマイクロドライプリンターを持っている友人に頼んで、デカールを作ってもらう。

ちゃぶ台ファクトリー再稼動。
しばらくの間、「ハブ・ゼムケのP-47を My Hanger の主役にしたい」1/18プロジェクトに嵌る。