趣味部屋

趣味部屋、いや図画工作部屋

最近は “趣味部屋” というより “アトリエ” 。
つまり、籠って絵をシコシコ描いている。
なんでそんな気になったのかは、自分でもよくわからないが、かなり熱中してしまっている。模型を触ったり、眺めたり、工作したりということを放っておいてだ。

もともと我が趣味部屋は模型を楽しむためだけの部屋ではない。
好きなことに没頭するための部屋だ。
趣味部屋とは大括り(おおぐくり)な言い方で、「(大きな)おもちゃ箱」兼「図画工作」の部屋というのが適切かも。 Wikipediaで「図画工作」を調べたら、英語では Arts and Crafts というらしい。 Artsも、Craftsも大好きな言葉。 日本の初等教育における教科の一つで、略して図工というのだ。
「図工」なんて聞くと子どもの頃に帰るなぁ。
なんともいい響きの言葉。一番好きな教科だったもんな。

この教科、文部科学省の学習指導要領によれば、「表現及び鑑賞の活動を通して、つくりだす喜びを味わうようにするととももに、造形的な創造活動の基礎的な能力を育て,豊かな情操を養う」ことを目標としているのだそう。
そうだ、そうだ、つくりだす喜びを味わい、豊かな情操が養われたから、 “創造力豊かな” 今の自分がいるのだ…と、自分に浸る。

図工が目的の趣味部屋だから、PhotoshopとIllustrator をインストールしたMacを配備してある。
今はそのMacをフル稼働。朝起きて出勤前の1時間、日本テレビの「ZIP!」を見ながらシコシコ。昼に食事に戻って「ヒルナンデス!」をみんながらシコシコ。そして仕事を終えて戻るや否や、夕食や入浴も早めにすませて、バラエティ番組を見ながらシコシコ。なんだか、ずうっとタブレットのペンを握っている。

けど、放りっぱなしの工作計画も気になってしょうがない。
1/87のアメリカン・グラフィティも完成させなきゃ。
ゼムケの1/18のP−47もコクピット部分に手をつけたまま、放りっぱなし。
あぁ、時間が足りない。実は、仕事をしている暇なんてないのだ。

趣味部屋、もとい、図画工作部屋ばんざい!

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模型を見ながらイラストを仕上げる。モデルはF4Uコルセア。 WING CLUB 製 1/32 

 

飾り方あれこれ

自分のお気に入りのコレクション。パッケージに入れたまま、大切に “押し入れ” に仕舞っておくのもそれはそれ。でもやっぱり、飾って眺めてなんぼのもん。万が一あとで売るときに、なんて下心が湧くのはヤヤフオクのせいだ。

好きな模型やフィギュア達に囲まれて、“山崎”のハイボールを飲む。格別のひととき。

ならば飾り方にもこだわろう!
これはどうやって飾ろうか、単体でのかっこよさも当然だけど、ほかのアイテムとのバランスや、部屋全体の雰囲気も考えて…。
こんなことに思いを巡らし、時間を割けるのも、アクセクしない心の余裕が持てたから。趣味部屋バンザイ!

心に余裕がなく、アクセクしていた数年前。
通勤途上で立ち寄ったコンビニで、気分紛らしに衝動買いしていた通称 “食玩” 。
そのクオリティの高さに引かれ、眺めながら昼食のコンビニ弁当を食べ、ささやかな癒しの時間を味わっていた。

気がつくと、かなりの量になっていた。でも捨てられない。
なんとか飾れないかなぁ。ガラスケースの中に、ただ並べるだけじゃ味気ない。部屋のインテリア・コンセプト(大袈裟!)にもマッチしない。

家内につきあって行った大型量販店の食器売り場で思いついた。
調味料や食材なんかを入れておくガラスの容器。けっこうお洒落なものがある。
発想の転換。食材にかえてフィギュアを入れてみたら面白いかも。
むかしの小さなお菓子屋さんの店先に並んでいたガラス容器を思い出した。

ガラス容器

なかなかいいかも。
ならべてみて大満足。

趣味部屋鉄道〜メルクリン

趣味部屋に鉄道敷設は絶対条件。

自分的に鉄道模型は他の模型ジャンルとは一線を隔す特別な憧れ。
模型に興味を持ち始めた1960年代。たしかマッチボックスとかホットホィールといったミニカーを知った頃。
歳の離れた従兄弟からHOゲージの電気機関車と一畳に収まるくらいの線路をもらった。もちろんコントローラーも。
従兄弟が金属製のレールを繋げてくれ、コントローラーを配線し、電気機関車を走らせてみせてくれた。
記憶ではバチバチと火花が出るような音がしたはずだが、機関車がゆっくりと動き出し、ウィーンというモーターの回転音が聞こえて、模型の中を電気が流れるのを感じた。
テレビや冷蔵庫や蛍光灯や、生活を支える電化製品たちが使うものと同じ電気を使って模型が動く。
重量感のある金属製の機関車が、金属製のレールの上をウィンウィンゴトゴトと周回する姿を見て、鉄道模型は“おもちゃ”でないことを悟った。

その後、もらったはずの電気機関車の模型は、十分に味わうまもなく従兄弟に引き上げられてしまった。やっぱり惜しくなったようだ。
だから余計に鉄道模型への想いが募ることになった。

「ディズニーランド」というTV番組がはじまったのが1960年代後半の1968年。ウォルト・ディズニー自身が案内役で登場して、「未来の国」「おとぎの国」「冒険の国」「開拓の国」の4つのテーマで関連した内容を紹介する番組。
アニメあり、実写ドキュメンタリーあり。いちばん多感な時期、この放送でディズニーの世界にどっぷりと浸かった。いまも浸かっている。「尊敬する人は?」と聞かれたら、「ウォルト・ディズニー」と今も答える。
1960年代はウォルト・ディズニーが身体に染み込んだ時代。 
確かこの番組の中だったと思うが、ウォルトは自宅の庭に1/8スケールの鉄道を敷設していたと知った。名前をキャロルウッド・パシフィック鉄道(Carolwood Pacific Railroad)というんだとか。精巧に作られた蒸気機関者が貨車を引き、人が跨がって乗れる。各地のディズニーランドに必ず鉄道が敷かれているのは、これが起源。

Walt-Disney-Railroad-Story
ウォルト・ディズニーの鉄道への想いをまとめた洋書。
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 ウォルトが
自宅の庭に敷設していたキャロルウッド・パシフィック鉄道(Carolwood Pacific Railroad)

いつか大人になって家を持ったら「庭に鉄道を敷くんだ」、とキャロルウッド・パシフィック鉄道に憧れ、きっと実現出来るだろうと大志を抱いた。
けど、歳を経て自分で生計をたてるようになり、1/8なんてとんでもなく、1/16いや1/32のスケールのものですら庭に鉄道を敷くなんて夢のまた夢と、大志の儚さを思い知った。

大志は儚かったけど、憧れは根強い。庭でなくても室内なら。日本の生活事情を考えれば、室内にずうっと鉄道模型の線路を敷きっぱなしなんて、それはそれで結構大層なこと。いつか自分の趣味部屋を持って「鉄道を敷くんだ」と大志を修正した。趣味部屋に鉄道敷設は絶対条件となった。

趣味部屋が完成したっと高らかに宣言出来るのは、鉄道を敷くことが出来たから。
賃貸だけど自分の“庵”が持て、趣味に没頭する専用の部屋が出来て、敷設が完了した。
ちなみに、“庵”とは、風流人など浮世離れした者や僧侶が執務に用いる質素な佇まいの小屋のことだそうで、わが趣味部屋は執務のためなどといった大それたものではないけど、まさに浮世離れした者の質素な佇まい。ここで“浮世”を離れるのだ。

わが趣味部屋鉄道、スケールは1/87。メルクリンのHOゲージ。メルクリンであるが故に、警笛をならし、動力音を発しながら走る。蒸気機関車はちゃんと煙を吐き、電車は車内のアナウンスなども流れる。踏切は遮断機が降り、警告灯が交互に光る。信号機は腕木が動き、赤では列車を自動的にとめる。メルクリンはそれらを手軽に、まるでプラレールを組むように簡単に組むことができる。
どちらかというと眺めるのが主流、ジオラマをいかに凝って作るかが主流の日本の鉄道模型とは一線を画す。走らせて楽しめる、大人のプラレール。

部屋いっぱいが鉄道ジオラマ。そんな鉄道模型専用の部屋を求めていた訳ではない。それよりも、趣味作業するデスクの上を時折模型機関車が通過する。加えてジオラマ要素もちゃんとあって、運転も楽しめる。そんな感じを求めた。
鉄道模型が主役でなくて、インテリアの一部的な感じになるのがいいなぁと思っていた。
幅180cmと150cmの作業用デスクを並べ、作業スペースの奥に直線レールを敷いた。押し入れを解放し、ジオラマ・エリアを作った。そこに駅を作り、街のイメージを配置する予定。

desktoprailroad 

ずぅとパッケージのまま押し入れの置くに仕舞い込んでいたメルクリンの機関車たちが日の目を見た。
総延長、約14~15m程のささやかな鉄道。けれど彼らの走りを楽しむのには“十二分:じゅうにぶん”。
デスクに向かい、「Central Station」というデジタルコントローラで機関車たちを制御し始めると、寝る時を忘れる。